輸液の用語解説
ピックアップ
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配合変化
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2種類以上の注射薬を混合(配合)することで起こる物理的・化学的な反応(変化)で、配合後24時以内に物理的な外観変化を認めるか、又は、配合した1種類以上の成分が10%以上分解することと定義される。
注射薬は単独投与を想定して開発されているが、臨床現場では輸液バッグや点滴ルート内で配合され投与される場合が多く、配合変化に注意する必要がある。
【参考】配合変化が生じた場合、フラッシュすれば良いでしょうか?
- 関連用語
- 混注
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注射業務の8R
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注射剤のヒヤリ・ハット防止のための8つのR(Right)のこと。患者名、実施日、実施時間、薬品名、投与量、手技、投与速度、投与経路の8つの項目が正しい(Right)かダブルチェック等で確認する。
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基礎的医薬品
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平成28年度の薬価制度改革から試行的に導入され、医療上必要性の高い医薬品を継続的に供給できるよう、不採算や最低薬価になる前の薬価を下支えする制度。一定の要件を満たす医薬品が「基礎的医薬品」として認められ、薬価改定の際、その薬価が維持されている。「基礎的医薬品」には輸液製剤も多く含まれ、「基礎的医薬品」として認められた場合、より一層の安定供給が求められる。
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アルファベット
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mEq(ミリ当量)
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mEq(ミリ当量、ミリ・イクイバレント、メック)は電解質の量を表す単位で、物質量(mmol)×イオンの価数で計算する。mEqは通常、理論値、すなわちNaCl等の電解質がNa+とCl–等に完全に電離した状態を示す。輸液のように電解質を含む溶液では、溶液1L中に溶けている溶質のミリ当量としてmEq/Lという単位を使用する。
-詳細説明-
例えば、1mmol/Lの塩化カルシウム(CaCl2)の場合、Cl-は構造中に2個含むので、1mmol /LのCaCl2溶液中に[2mmol/L×1価=2mEq/L]、対応するCa2+も[1mmol/L×2価=2mEq/L]であり、陽イオンCa2+と陰イオンCl-の当量は同じになる。また、1mmolのCl–に対応するCa2+は1mmolではなく、イオンの価数を考慮して0.5mmol(下図参照)になる。
輸液製剤では陽イオンと陰イオンは常に同じ当量で存在するため、複数の陽イオンと陰イオンが存在する場合でも、そのバランスがわかりやすく表現できる。
(例)生理食塩液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)の場合:
NaClは、水に溶けるとNa+とCl–に電離する。
0.9 w/v% = 9g/L = 154mmol/L(NaCl:58.44)
Na+:154mmol/L×1価=154mEq/L、Cl–:154mmol/L×1価=154mEq/L- 関連用語
- w/v%
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Henderson–Hasselbalch(ヘンダーソン・ハッセルバルヒ)の式
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血液pH = 6.1 + log 〔HCO3-〕 0.03×PCO2 血液のpHは主に肺と腎臓で調整されており、上記ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式で求められる。
-詳細説明-
肺は炭酸ガス分圧(PCO2)を、腎臓は重炭酸イオン濃度([HCO3–])を調節している。ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式では分母にはPCO2が、分子にはHCO3-が含まれており、分母のPCO2が増加すれば血液のpHが下がり、PCO2が減少すれば血液のpHが上昇する。反対に、分子のHCO3-が増加すれば血液のpHが上昇し、HCO3-が減少すれば血液のpHが下がる。
CO2は酸でありHCO3-は塩基(アルカリ)である。CO2は肺で、HCO3-は腎臓で調節されているので、CO2が増加した病態(酸が増える)を呼吸性アシドーシスといい、CO2が減少した病態(酸が減る)を呼吸性アルカローシスという。一方、HCO3-が増加した病態(塩基が増える)を代謝性アルカローシスといい、HCO3-が減少した病態(塩基が減る)を代謝性アシドーシスという。- 関連用語
- 血液ガス
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BCAA
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バリン、ロイシン、イソロイシンの総称。これらのアミノ酸は側鎖が分岐しているため分岐鎖アミノ酸(Branched-Chain Amino Acid)と呼ばれ、頭文字をとってBCAAと呼ばれる。
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pH変動スケール
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注射剤(試料)10mLに、0.1mol/L HCl試液または0.1mol/L NaOH試液を滴下しながら、注射剤(試料)の外観変化と変化点におけるpHを記録したデータをpH変動スケールといい、注射剤(試料)の外観変化の有無が分かる。また、試料pHと変化点pHまたは最終pH(10mL滴下時)の数値差が大きいほどpH変動をおこしやすい注射剤(試料)であることが分かる。これらは、pH依存性配合変化の参考情報として用いることができる。
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pHと滴定酸度
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滴定酸度とは、輸液製剤等の酸性度を、アルカリ標準液を用いて滴定により求めた値のこと。
-詳細説明-
ヒト血液のpHは約7.4なので、輸液のpH を7.4まで滴定するのに要した0.1mol/L水酸化ナトリウム試薬の量で示す。単位はmEq/L。
なお、輸液製剤の滴定酸度は、組成や添加物等によって影響を受けるため、製剤のpHが同程度である場合でも製剤により値が異なることもある。- 関連用語
- 血液ガス
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w/v%
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質量対容量百分率(weight per volume percent)は、溶液100mL中の溶質の質量(g)を表す濃度単位の1つ。製剤の処方又は成分などを示す場合に用いられる。
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あ行
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安定確保医薬品
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日本医学会傘下の主たる学会の各専門領域において、医療上必要不可欠であって、汎用され、安定確保が求められる医薬品として提案されたもので、我が国の安全保障上、国民の生命を守るため、切れ目のない医療供給のために必要で、安定確保について特に配慮が必要とされる医薬品のこと。優先度に応じてカテゴリA、B、Cに分類され、一部の輸液剤がカテゴリCに指定されている。
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エンドトキシン試験法
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グラム陰性菌由来のエンドトキシンを検出又は定量する試験であり、注射剤のエンドトキシンの規格値は、投与量に基づいて規定されている。エンドトキシンは極めて微量の混入により発熱を引き起こすことから、生体内に直接投与される注射剤において、特に厳重な管理が求められる。
出典等:日本薬局方解説書編集委員会編.第十八改正日本薬局方解説書.廣川書店,2021,B-535-B555
- 関連用語
- 発熱性物質試験法
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か行
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混注
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輸液に抗生物質、抗がん剤、利尿剤などを加える混合調製操作を一般的に混注という。混注することによって、沈殿を生じたり、調製液のpHが変動したり、変色したり、有効成分が分解されたりすることもある(配合変化)ので、配合時には注意が必要である。
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刻印部
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輸液容器のゴム栓の注射針を刺通するためのくぼみ部分を「刻印部」と呼ぶ。
同義語:針刺し部、ディンプル(“小さなくぼみ”を意味する言葉)-詳細説明-
注射針や輸液セットのびん針は、刻印部に、ゴム栓面に対して垂直に刺通することで、液漏れやコアリングを防ぐことができる。
- 関連用語
- コアリング
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高カロリー輸液基本液
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経中心静脈栄養療法は経口・経腸栄養投与の不可能な患者に対し経中心静脈投与によって栄養補給を行うもの。この療法に使用する液を高カロリー輸液(糖濃度12%以上で、アミノ酸、脂肪、ビタミン、微量元素などを含む)といい、高カロリー輸液を調製するために用いる主として高濃度(糖濃度15%以上)のブドウ糖および電解質を含有している注射液を高カロリー輸液基本液という。ブドウ糖濃度が高濃度であるため、浸透圧比は約4~約11となっている。
- 関連用語
- 輸液療法
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コアリング
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注射針をゴム栓に刺通するとき、注射針の「あご部」によりゴム栓が削り取られ、ゴム片が発生する事象。
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血管の確保
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緊急時に治療用注射薬などを直ちに静脈注射できるように、予め血管にカテーテルを挿入して点滴をしておくこと。
同義語:ルート確保、(ルート)キープ
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血液ガス
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血液ガス分析から得られる情報は患者さんの呼吸状態、組織への酸素供給状態、酸塩基平衡異常の有無などであり、血液ガス分析で測定される主な項目と基準範囲は以下の通り。
項目 動脈血における基準範囲 pH pH 7.35 ~ 7.45 炭酸ガス分圧 PaCO2 35mmHg ~ 45mmHg 酸素ガス分圧 PaO2 80mmHg ~ 100mmHg 重炭酸イオン濃度 HCO3– 22mmol/L ~ 26mmol/L 酸素飽和度 SaO2 94% ~ 99% ベースエクセス BE -2mmol/L ~ +2mmol/L アニオンギャップ AG 8mmol/L ~ 16mmol/L 出典等:金井正光 他.臨床検査法提要 第35版.金原出版, 2020
-詳細説明-
血液pHの基準範囲は7.35~7.45であり(pHに単位はない)、血液のpHが基準範囲の下限である7.35を下回っている状態をアシデミア(酸血症)、基準範囲の上限である7.45を超えている状態をアルカレミア(アルカリ血症)という。
一方、血液のpHを下げる方向に働く病態(アシデミアに変化させるような病態)をアシドーシス、pHを上げる方向に働く病態(アルカレミアに変化させるような病態)をアルカローシスという。しばしば、アシドーシスとアシデミア、アルカローシスとアルカレミアは同じような意味で使用されることがあるが、アシデミアやアルカレミアは状態であり、アシドーシスやアルカローシスは病態であるので、厳密には区別されるものである。
血液のpHは主に肺と腎臓によって調節されていて、肺は炭酸ガス分圧を、腎臓は重炭酸イオン濃度を調節している。
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気密容器
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通常の取扱い、運搬又は保存状態において、固形又は液状の異物が侵入せず、内容医薬品の損失、風解、潮解又は蒸発を防ぐことができる容器をいう。
輸液製剤では、プラスチックボトルやソフトバッグなどのプラスチック製容器が該当する。出典等:第十八改正日本薬局方 通則44
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基礎的医薬品
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平成28年度の薬価制度改革から試行的に導入され、医療上必要性の高い医薬品を継続的に供給できるよう、不採算や最低薬価になる前の薬価を下支えする制度。一定の要件を満たす医薬品が「基礎的医薬品」として認められ、薬価改定の際、その薬価が維持されている。「基礎的医薬品」には輸液製剤も多く含まれ、「基礎的医薬品」として認められた場合、より一層の安定供給が求められる。
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緩衝剤
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緩衝剤とは点滴によって生じる体液のpH変動を起こりにくくするために、輸液剤に含まれる成分のことです。緩衝剤には乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムがあり、体内で代謝性アシドーシスを補正する働きがある。
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さ行
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ソフトバッグ
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プラスチック製の枕状の輸液容器を「ソフトバッグ」といい、やわらかい材質であることから、点滴するにつれて容器が大気圧でしぼんでいくため、通気針(エア針、空気針)を必要としない。
また、プラスチック製の輸液容器の材質には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などがある。なお、PVC製バッグは可塑剤であるフタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)の溶出と、薬物を収着すること、さらに廃棄上の問題もあり、現在は使用されていない。【参考】ソフトバッグ製品をタンデム方式で投与してはいけない理由は?
出典等:幸保文治.注射薬投与法の基礎と工夫.メディカルトリビューン, 2001, p.43-44
日本薬局方解説書編集委員会編.第十八改正日本薬局方解説書.廣川書店, 2021, B-816
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外袋
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輸液剤を一本ずつ包む袋を「外袋」と呼ぶ。
アミノ酸輸液や栄養輸液等は、品質保持のために、ガスバリア性や遮光性などの機能を有する外袋で包装している。輸液の外袋については、一般的には使用時に開封するようにお願いしている。
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精製ブドウ糖
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「精製ブドウ糖」は、デンプンを酸あるいは酵素により完全に加水分離し、精製、濃縮後、そのまま結晶化して含水結晶ブドウ糖とし、さらに濃縮後、煎糖、分蜜して無水結晶ブドウ糖を得た後、濃縮後、造粒あるいは型入れ形成したものである。
第十七改正日本薬局方第一追補において、日本薬局方ブドウ糖注射液の有効成分が「ブドウ糖」から「精製ブドウ糖」に改正されたことから、日本薬局方ブドウ糖注射液の製造には「精製ブドウ糖」が用いられている。
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精製水
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薬品の溶剤として製剤、試液・試薬の調製や器具の洗浄に用いられる水である。無菌ではないので、注射剤や点眼剤の調製に用いてはならない。
「常水」(一般的には、通常の水道水)を、超ろ過(逆浸透、限外ろ過)、イオン交換、蒸留又はそれらの組み合わせにより精製したものである。
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浸透圧比
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生理食塩液の浸透圧に対する製剤の浸透圧の比です。
末梢静脈からの点滴では輸液製剤の浸透圧が高くなるほど、血管痛や静脈炎の発生頻度も高くなるので、末梢静脈から投与できる輸液濃度の目安として、浸透圧比が3以下とされている。- 関連用語
- 浸透圧 mOsm/L
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浸透圧 mOsm/L
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水は通すがブドウ糖や電解質等を通さない半透膜で濃度の異なる水溶液を隔てると、濃度の低い方から濃度の高い方に水が移動する。
この水を引っ張る力を浸透圧といい、溶けている粒子の数が多いほど、浸透圧は高くなる。
血漿の浸透圧は約285mOsm/Lで、これと同じ浸透圧の輸液として、生理食塩液や5%ブドウ糖液などがある。
なお、純粋な水は浸透圧は生じないため、0mOsm/Lです。- 関連用語
- 浸透圧比
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消毒
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一般的には、病原菌など有害な微生物を除去、死滅、無害化することである。日本薬局方 参考情報では、対象物又は対象物の表面等の局所的な部位に生存する微生物を減少させることを指す。
出典等:第十八改正日本薬局方 参考情報 消毒法及び除染法
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集積袋
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複数の輸液容器を包む袋を「集積袋」(または「ガゼット(袋)」)という。
主として持ち運びや計数の利便性のためにあり、一般に特にガスバリア性などの機能を持たない袋である。
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シール、キャップ
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輸液容器のゴム栓を覆っているプラスチック製のフィルムを「シール」と呼び、ゴム栓面を保護する役割がある。
同義語:フィルム、(イージー)ピールシールプラスチック製や金属製の蓋でゴム栓を覆っているものを「キャップ」と呼び、同様にゴム栓面を保護する役割がある。
同義語:プルトップ、プルオフキャップ【参考】輸液容器注入口(ゴム栓の表面)は滅菌(無菌保証)されていないのですか?
輸液バッグ、輸液ボトルのシールとキャップ
-詳細説明-
輸液剤は、清浄な環境下で容器に薬液を充填し、「シール」や「キャップ」を付けた後に高圧蒸気滅菌を行うことで薬液が滅菌されていることを保証しているが、「シール」や「キャップ」とゴム栓の間には水分が存在せず、ゴム栓の外側表面には飽和蒸気が接触しないため、理論的にゴム栓表面は無菌性が保証されていない。そのため、「シール」や「キャップ」を外した後は、使用前にゴム栓を消毒用エタノールで適切に消毒することが推奨されている。
出典等:幸保文治.注射薬投与法の基礎と工夫.メディカルトリビューン, 2001, p.43-44
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殺菌
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病原性や有害性を有する細菌やウイルスなどの微生物を死滅させる操作のことをいう。
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た行
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等張電解質輸液、高張電解質輸液、低張電解質輸液
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等張電解質輸液は、電解質(主にナトリウム)の浸透圧が細胞外液とほぼ等しいので、投与した輸液は細胞内へは移動せず、細胞外に分布して細胞外液量を増します。そのため「細胞外液補充液」とも呼ばれ、血管内や組織間に水分・電解質を補給できる輸液です。高張電解質輸液は、細胞外液より電解質の濃度が高い輸液です。低張電解質輸液は、細胞外液より電解質の濃度が低い輸液で、細胞内にも水分補給できる。
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等張液、高張液、低張液
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体液(細胞外液)の浸透圧は「285±5mOsm/L(ミリオスモル/リットル)」に保持されています。これとほぼ等しい浸透圧をもつ液を等張液といい、これより低い浸透圧の液を低張液、高い浸透圧の液を高張液と呼ぶ。
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通気針
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「通気針」(または「エア針」、「空気針」)とは、疎水性のフィルターがついた注射針である。
ガラス容器などに充填された輸液は、点滴時に外気を導入しないと容器内が陰圧になり、薬液を排出できない。そのためゴム栓に通気針を刺して外気を導入することで排液を可能にする。出典等:幸保文治.注射薬投与法の基礎と工夫.メディカルトリビューン, 2001, p.27
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直針
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「直針」(注射用針)は、「針管」と「針基」から構成され、ステンレス鋼を材質とする針管を保護するプロテクタ(針さや)が附属する。針管の先端の斜めにカットされた部分を刃先と呼び、カットの角度やカットの仕方が用途により異なる。
直針は穿刺を行いやすいという長所があるが、針先が鋭利で血管に入っている部分は短いことから、患者の体動により血管を損傷しやすく、薬液が血管外に漏れやすいという欠点がある。そのため、長時間ではなく短時間の点滴に向いている。出典等:
・幸保文治.注射薬投与法の基礎と工夫.メディカルトリビューン,2001,p.13
・検体採取者のためのハンドブック(日本臨床衛生検査技師会),p.106
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吊架孔
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輸液を点滴スタンドに吊るすときに使う輸液容器の上部の穴を吊架孔(ちょうかこう)と呼ぶ。
同義語:吊り下げ口、懸垂口、吊り穴
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注射用水
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注射剤の調製に用いられる水である。無菌で発熱性物質を含まないので注射液製造又は注射用医薬品の溶解に用いることができる。
「注射用水」は、「常水」又は「精製水」の蒸留、又は「精製水」の超ろ過(逆浸透膜、限外ろ過膜又はこれらの膜を組み合わせた製造システム)により製したものを滅菌し、発熱性物質(エンドトキシン)試験に合格したものである。
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注射用蒸留水
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蒸留法により製した注射用水の別名であり、注射剤の調製に用いられる水である。無菌で発熱性物質を含まないので注射液製造又は注射用医薬品の溶解に用いることができる。
【参考】精製水、滅菌精製水、注射用水(注射用蒸留水)の違いについて教えて下さい。
- 関連用語
- 注射用水
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注射針の種類
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注射針は用途に応じていくつか種類があり、輸液関連用としては「直針(注射用針)」、「翼状針(翼付針)」、「留置針」がある。
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注射針の規格、針の太さの単位
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注射針の規格は、注射針の外径を表す単位である「ゲージ(G)」の番号で示される。
Gの番号が小さくなるほど太い注射針になる。
また、Gの番号によって、針基の色が異なっており、注射針の種類が一目でわかるように工夫されている(注射針のカラーコードは国際標準化機構(ISO)規格に統一)。出典等:
・幸保文治.注射薬投与法の基礎と工夫.メディカルトリビューン, 2001, p.14
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注射業務の8R
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注射剤のヒヤリ・ハット防止のための8つのR(Right)のこと。患者名、実施日、実施時間、薬品名、投与量、手技、投与速度、投与経路の8つの項目が正しい(Right)かダブルチェック等で確認する。
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な行
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は行
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ヘパリンロック
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ヘパリンの抗凝固作用を利用して血管を持続的に確保すること。
静脈内に挿入してあるカテーテルを使用していない(輸液剤や注射剤を投与していない)ときに、血液が凝固してカテーテルが閉塞することを予防するためカテーテル内をヘパリン加生理食塩液で満たす手技。出典等:ナース専科.看護用語集.ヘパリンロック.
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非必須アミノ酸
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生体内で合成されるため、必ずしも食物から摂取する必要がないアミノ酸。(栄養・生化学辞典)輸液においては栄養学的バランスを考えて、必須アミノ酸とともに非必須アミノ酸も配合されている。非必須アミノ酸はアルギニン、アラニン、システイン、チロシン、プロリン、セリン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アスパラギンがある。
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必須アミノ酸
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生体内で合成されないため、食物など外部から補給する必要がある9種類のアミノ酸のこと。ロイシン、イソロイシン、バリン、リシン、トレオニン、トリプトファン、メチオニン、フェニルアラニン、ヒスチジンを指す。
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発熱性物質試験法
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ウサギを用いて発熱性物質の存在を試験する方法です。発熱性物質が陽性と判定されたものは注射剤として不適合となります。エンドトキシン試験の適用が困難な場合の代替法として用いられることもある。
出典等:日本薬局方解説書編集委員会編.第十八改正日本薬局方解説書.廣川書店,2021,B-578-B583
- 関連用語
- エンドトキシン試験法
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配合変化
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2種類以上の注射薬を混合(配合)することで起こる物理的・化学的な反応(変化)で、配合後24時以内に物理的な外観変化を認めるか、又は、配合した1種類以上の成分が10%以上分解することと定義される。
注射薬は単独投与を想定して開発されているが、臨床現場では輸液バッグや点滴ルート内で配合され投与される場合が多く、配合変化に注意する必要がある。
【参考】配合変化が生じた場合、フラッシュすれば良いでしょうか?
- 関連用語
- 混注
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ま行
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密閉容器
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通常の取扱い、運搬又は保存状態において、固形の異物が混入することを防ぎ、内容医薬品の損失を防ぐことができる容器をいう。
医薬品が入っている個装箱(紙箱)や輸液製剤の段ボール箱などが該当する。出典等:第十八改正日本薬局方 通則43
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滅菌精製水
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「滅菌精製水」とは、点眼剤などの無菌製剤の調製や医療器具の洗浄に用いられる水である。無菌であるが、発熱性物質を含有するおそれがあるため、注射剤の調製に用いてはならない。
「精製水」を滅菌(通常、高圧蒸気滅菌法で)したものである。
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滅菌
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「滅菌」とは、被滅菌物の中の全ての微生物を殺滅又は除去することである。
出典等:第十八改正日本薬局方 通則41
- 関連用語
- 滅菌精製水
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無菌製剤
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「無菌製剤」とは、無菌であることを検証した製剤である。
輸液製剤は、通常、最終滅菌法(製剤を容器に充填した後、滅菌する方法)で製造される。出典等:第十八改正日本薬局方 製剤総則 [1]製剤通則(8)
- 関連用語
- 無菌
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無菌
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「無菌」とは、定められた方法で対象微生物が検出されないことをいう。
出典等:第十八改正日本薬局方 通則41
- 関連用語
- 無菌製剤
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密封容器
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通常の取扱い、運搬又は保存状態において、気体の侵入しない容器をいう。
ガラスアンプル、ガラスバイアル、注射剤を封入したガラス製注射筒が該当する。出典等:第十八改正日本薬局方 通則45
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や行
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翼状針
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「翼状針(静脈用翼付針)」(通称:トンボ針、バタフライ針)は、金属製(ステンレス鋼)の針管とプラスチック製の翼がついた針基からなり、針基には細いチューブとコネクタが繋がっている。
穿刺した部位がずれないよう翼で固定することが可能であり、動きやすい部位への点滴に用いられる。
翼状針による長時間静脈路の確保は可能だが、針先が鋭利で血管に入っている部分が短く、患者の体動により血管を損傷し薬液が血管外に漏出するおそれがあり、それほど長時間ではない場合の点滴に向いている。【出典等】
・幸保文治.注射薬投与法の基礎と工夫.メディカルトリビューン,2001,p.16-17
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輸液療法
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体内の内部環境を維持するために主として経静脈的に水・電解質・糖質・脂質・アミノ酸・ビタミン・微量元素、高分子物質などを投与する治療法であり、体液の恒常性の保持と栄養の維持を目的に行われる。
出典等:北岡建樹.よくわかる輸液療法のすべて.永井書店, 2003, p.2
-詳細説明-
主に水分あるいは電解質の補正・補給のために用いられる電解質輸液剤と、経口的に栄養を摂取できない場合にエネルギー及びアミノ酸等の栄養素を補給する目的で使用される栄養輸液、また、循環血漿量を維持するための血漿増量剤等が用いられる。また、持続注入を目的として、他の薬剤を溶解・混合して投与するために生理食塩液や5%ブドウ糖液等が用いられる。
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輸液ライン(点滴ライン)
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全体図(輸液バッグ、輸液セット、翼状針又は留置針)
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輸液ポンプ
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輸液の投与に際し、点滴速度や輸液量を精密に管理するために用いる医療機器を「輸液ポンプ」と呼ぶ
-詳細説明-
輸液剤を自然落下させる場合、投与中に注入量が変化することから、流量調節器(クレンメ、クランプ)による調整等が必要である。そこで、輸液量を微細に調整したり、長時間一定速度で投与したりする必要がある場合などに「輸液ポンプ」が用いられる。
「輸液ポンプ」には、輸液の流量や輸液予定量が設定・表示されたり、投与量が表示されたりするため、過剰投与の防止にも寄与している。出典等:幸保文治.注射薬投与法の基礎と工夫.メディカルトリビューン, 2001, p.31-32
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輸液セット
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点滴に用いられる、輸液容器と血管内留置カテーテルを接続するラインを「輸液セット」と呼ぶ。
同義語:点滴セット-詳細説明-
一般的な輸液セットは、びん針(輸液容器に差し込む針)・点滴筒・流量調節器(クレンメ、クランプ)・静脈針またはコネクタ(患者側に穿刺する針またはカテーテルとの接続部)とそれらを繋いでいるチューブ(導管)で構成されている。
その他、フィルター(輸液及び混合操作中に発生する微生物や異物等の混入を防止するもの)などがついている輸液セットもある。
また、用途に応じて、小児用輸液セット、高カロリー輸液セット、定量輸液セット、ポンプ用輸液セットなどがある。
輸液セットの1mL当たりの滴下数の規格は20滴(成人用、一般用)と60滴(小児用、精密用)がある。
なお、界面活性剤の入った輸液や脂肪乳剤を投与する場合や、輸液セットの滴下ノズルが親水化した場合には、1滴当りの容量が変化することがある。出典等:幸保文治.注射薬投与法の基礎と工夫.メディカルトリビューン, 2001, p.24-29
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輸液製剤の結晶析出
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輸液製剤における結晶析出には、大きく分けて2つある。
①配合変化によるもの
輸液製剤に混合した薬剤との配合変化によって不溶性の結晶が生じるもの。
②温度変化によるもの
温度の変化によって輸液製剤の成分が析出するもの。この現象は高濃度アミノ酸製剤やD-マンニトール製剤等にみられることがある。これらの製剤を寒冷期又は冷所に保存すると、薬液が冷やされ、配合成分の溶解度を超えると結晶が析出する。-詳細説明-
結晶析出が認められた輸液製剤は、原則として使用しないこと。ただし、②温度変化によるもの、で記載した高濃度アミノ酸製剤、D-マンニトール製剤、炭酸水素ナトリウム製剤などは常温程度に加温・振とうすることで結晶が溶解することがあり、このような場合は使用可能である。(詳しくは製剤の電子添文を参照。)
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輸液
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静脈内に点滴注射される注射剤のことで、「点滴」と呼ばれる。主として、水分補給、 電解質補正、栄養補給などの目的で、輸液セット等を用いて静脈内に投与される。
-詳細説明-
日本薬局方では、注射により投与する製剤の1つとして「輸液剤(Parenteral Infusions)」が収載されており、「静脈内投与する、通例、100mL以上の注射剤」と記載されている。輸液セットを用い点滴静注による持続注入を行う製剤には、生理食塩液や5%ブドウ糖注射液などの50mL製剤もあることから、輸液製剤協議会では50mL以上の製剤を輸液としている。輸液剤Parenteral Infusions
(1) 輸液剤は,静脈内投与する,通例,100mL以上の注射剤である。
(2) 主として,水分補給,電解質補正,栄養補給などの目的で投与されるが
持続注入による治療を目的にほかの注射剤と混合して用いることもある。(第十八改正日本薬局方 製剤総則 3.注射により投与する製剤 3.1.1輸液剤)
出典等:日本薬局方解説書編集委員会編.第十八改正日本薬局方解説書.廣川書店, 2021, A-91-A-93
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ら行
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連結管
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複数のバッグを連続投与するために使用するU字管を連結管という。輸液セットを接続した容器が内容液の排出に伴って陰圧になるため、連結管を通して溶液が移動する。ソフトバッグは溶液の排出により容器が変形するため陰圧にならず、連結管を用いたタンデム方法はできない。
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わ行
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数字